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日本の経済(低学年からの中学受験)

2011年度本郷中学校社会入試は配点 75点 試験時間40分 

第1回出題内容は 1.北陸地方の地理  2.温泉と日本の歴史の関わり  3.日本経済の現状 総解答箇所45  でした。

第1回(2月2日)受験者847名 合格者 349名 実質倍率 2.4倍 社会受験者最高点 65点 受験者平均点 45.3点 合格者平均点 50.9点でした。


今回は 3.日本経済の現状を解説します。

本郷中学2011年度社会入試問題3.日本の経済 問題





本郷中学2011年度社会入試問題3.日本の経済解説解答

問1 解説解答

経済政策の主なものには、財政政策と金融政策があります。財政政策には国民から①租税を集め、それをもとに②社会保障制度などを通じて国民に所得を分配することや、③公共財の供給をおこなうことがあります。また、景気を調整することも財政政策に含まれます。これらの政策を実行するための租税が不足する場合には、借金をすることがあります。政府が借金をする際に発行する証券を( 1 )といいます。
問1 文中の( 1 )にあてはまる語句を2字で答えなさい。
解説
国や地方公共団体が不足する資金を補うために公債(国債・地方債)を発行する場合があります。国債の発行は不況の時の歳入不足や需要の減少を補い、景気を回復させる良い点がありますが、その返済をめぐって次の世代への負担を増すなどの問題を残すこともなります。したがって国債の発行は長期的展望に立って慎重に行なわなければなりません。

今年も2011年3月に発生した東日本大震災の復興のための財源として、国債の発行が検討されています。阪神淡路大震災の際の復興予算が3兆円超だったことを参考に、発行される国債の規模は10兆円超とも想定されています。

答   国債

問2 解説解答


次に金融政策を見ていきましょう。
日本の中央銀行である日本銀行は、金融政策を担っています。日本銀行は国内で唯一、( 2 )を発行することのできる銀行です。また( 1 )の売買をしたり、政府の資金を管理したりしています。このような日本銀行の使命の一つは、物価の安定です。日本銀行は貨幣の流通量を調節することによって、その使命を果たしています。
問2 文中の( 2 )にあてはまる語句を5字で答えなさい。
解説
  日本銀行は、日本で唯一の「発券銀行」として、お札(日本銀行券)を発行しています。

  このお札(日本銀行券)のほかに政府が発行している硬貨(貨幣)も取扱っています。お札は国立印刷局、硬貨は造幣局で作られ、日本銀行の金庫に保管され、金融機関への払い出しを通して世の中に流通し、みなさんが使用した後、再び金融機関を通して日本銀行に戻ってきます。

  日本銀行では、還流してきた銀行券については、銀行券自動鑑査機で真偽と枚数をチェックしたうえで、汚損度合に応じて流通適否の別に整理します。これを鑑査と呼んでいます。鑑査の結果、流通に適したものは日本銀行窓口から再度市中に供給される一方、不適当なものは、復元できない大きさに裁断され、銀行券の一生を終えることとなります。

  銀行券の平均寿命は、一万円札で4~5年程度、五千円札、千円札は使用頻度が相対的に高く傷みやすいため1~2年程度となっています。


答  日本銀行券



問3 解説解答


ここで日本経済が直面している現実に目を向けてみましょう。
現在の日本は、深刻な不況に苦しんでいます。その主な原因は、物価が持続的に下落していく( 3 )の状態にあることです。( 3 )によって消費者の買い控えがおき、それによって④企業の業績が悪化しているため、⑤家計の所得が増えないのです。そこで、( 3 )の克服が日本経済の最大の課題となっています。
問3 文中の( 3 )にあてはまる語句を7字で答えなさい。
解説    インフレーションとデフレーション

モノやサービスの値段は、需要と供給のバランスで決められています。需要と供給のバランスが崩れると、値段は変動する。この動きが、他のモノやサービス全般に広がっていくと、物価(モノやサービスを総合的に表したもの)が変動します。一般的には、物価が継続して上昇する状態をインフレーション、略してインフレと呼び、物価が継続して下落する状態をデフレーション略してデフレと呼びます。


インフレーション
インフレになるとモノの値段が上がります。明日買うより今日買った方が安いので、人々は買い急ぎます。貯蓄をしていても、相対的にお金の価値が下がってしまうので、多くの人々が消費に走り、結果として現金の需要が増えます。消費量の増加に対して、生産が追いつかないという状況が発生し、店に並ぶモノが減ります。物価はますます上昇し、このような循環現象が起こります。

インフレが起こる理由:原材料や賃金が上がり、生産にかかる費用が上がることによって、企業はその分を製品価格に上乗せするので、物価が上がります。また、世の中にあるお金の量が増えてもインフレが起こります。世の中にお金が増えると人々がモノを買おうとするが生産が追いつかず、モノ不足になり、物価が上昇するインフレもあります。

デフレーション

デフレとは、お金の価値が上がり、相対的にモノの値段が下がることをいいます。モノの値段が下がったからといっても、通常、人は必要以上にモノを買わないので、モノが同じ数だけ売れても、販売価格が下がれば企業の売り上げは落ちていきます。企業業績が悪くなると、経済活動全体が元気をなくし、経済が縮小していきます。

デフレの場合も、物価の下落に追いつけないものが出てきます。例えば賃金などがその1つです。企業が出荷する製品の価格が下がり、売上が減っても、すぐに賃金が下がるるわけではありません。それは、賃金は従業員の生活を支えており、重大な関心事だからです。それを引き下げれば従業員の労働力を下げるおそれがあり、悪くすれば労使紛争にもつながりかねないからです。そのため、企業は賃金引き下げに慎重にならざるを得ず、それだけ収益が圧迫されることになる。そして企業は出費を抑えるようになり、新たな設備投資を抑制します。企業業績の不振が雇用不安につながるため、将来を心配した家計は、消費を抑えることになり、ますますモノは売れなくなり、そしてさらに物価は下がります。


答    デフレーション

問4 解説解答

また、株価や地価の異常な上昇を示す「( 4 )」が崩壊したA1991年以降、国債が大量に発行されており、日本は借金大国といわれることがあります。
問4 文中の( 4 )にあてはまる語句を3字で答えなさい。
解説
日本のバブル経済

1980年代後半、日本は円高が進んで日本の製品が高くなり、外国へ売りにくくなっていました。そして国は、お金を安く貸してくれるようになりました。そして、借りられるうちに借りてしまおう、という人が増え、お金の使い道に困ってしまいました。そこへ目についたのが、株や土地でした。株は、人が会社にお金を貸す証明書のようなもので、会社のもうけによって利息が決まっていました。日本の会社はもうかっていたので、株の値段は高く上がりました。土地も、値段は下がらないといわれ、安いうちに買おうという人が増えました。そして株も土地も値段が上がっていきました。株も土地も値段が上がりすぎて、やがてバブルがはじけました。1億円で家を買い、高く売りに出そうと考えていたのが、5.000万円の価値に下がってしまい、大きな損をしてしまいました。              

出典:こどもがわかる経済ニュースの本/阪本将英・田坂節子/中経出版

    バブル

問5 解説解答
経済政策の主なものには、財政政策と金融政策があります。財政政策には国民から租税を集め、それをもとに②社会保障制度などを通じて国民に所得を分配することや、③公共財の供給をおこなうことがあります。
問5 下線部①租税について、商品の購入金額に5%が課される租税を何といいますか。その名称を答えなさい。
解説
租税は、直接税と間接税に分類されます。直接税は納税者と税負担者が同一人である税で、所得税・法人税・相続税などがあります。間接税は納税者と税負担者が別人である税を指し、消費税・酒税などがあります。消費税は進行する高齢化社会への福祉財源の安定的確保や財政健全化のための歳入をはかる必要などが生じて1989年に消費税が導入されました。消費税は全ての商品・サービスの取引に課税するのが原則で、税率は当初3%でしたが、1997年4月から5%になりました。

答   消費税
問6 解説解答
経済政策の主なものには、財政政策と金融政策があります。財政政策には国民から租税を集め、それをもとに社会保障制度などを通じて国民に所得を分配することや、公共財の供給をおこなうことがあります。
問6 下線部②について、社会保障制度とは関係のないものを次の中から1つ選び、記号で答えなさい。
           ア 生活保護  イ 国民健康保険  ウ 国民年金  エ 生命保険
解説
日本の社会保障制度の根拠となっているのは「日本国憲法第25条」の生存権で、国民の「健康で文化的な最低限度の生活を営む」権利を保障し、国に社会保障を義務づけました。日本の社会保障制度は、社会保険・公的扶助・公衆衛生の4分野からなっています。
社会保険制度は、現在、医療保険年金保険・雇用保険・労働者災害補償保険の4種があります。
公的扶助には、生活・教育・住宅・医療・出産・生業・葬祭の7つの扶助があります。
社会福祉は、児童・心胆障害者・精神薄弱者・老齢者・母子家庭など、なんらかの保護を必要としている社会的弱者に対して、無償又は軽い負担で使節やサービスを提供するものです。
公衆衛生は国民の疾病を予防し、健康増進・伝染病予防などを目的に、保健所を通じて生活環境施設の整備を行うものです。

答     エ

問7 解説解答

経済政策の主なものには、財政政策と金融政策があります。財政政策には国民から租税を集め、それをもとに社会保障制度などを通じて国民に所得を分配することや、③公共財の供給をおこなうことがあります。
問7 下線部③について、公共財とは多くの人が利用する一方で、その設置・管理に関わる費用の徴収が難しいものを指します。そのようなものとして適切でないものを、次の中から1つ選び、記号で答えなさい。
            ア 公園    イ 農地    ウ 港湾    エ 道路
解説

 公共財とは,道路や法律のようにすべての人々に共同で消費または利用される財もの・サービスのことです。

 公共財には「一人の消費者に提供しようとしてもそのほかの消費者も消費することができるもの」で、このような例としては
、街灯の明かりなどがあります。

 また、一人の人が法律を利用したからとの理由でそのほかの人が法律を利用できなくなることがないように,一人の人がいくら公共財を利用しても,そのほかの人が利用できなくなることがないもの・サービスも公共財です。

 純粋な公共財としては,一般行政サービス,国防,司法制度があります.公共財の性質を多少ゆるめると,公立病院,図書館,公園などがあります.このような財・サービスを準公共財といいます。


答     イ

問8 解説解答

現在の日本は、深刻な不況に苦しんでいます。その主な原因は、物価が持続的に下落していくデフレーションの状態にあることです。デフレーションによって消費者の買い控えがおき、それによって④企業の業績が悪化しているため、家計の所得が増えないのです。そこで、デフレーションの克服が日本経済の最大の課題となっています。
問8 下線部④について、業績が悪化した企業の中には、工場を閉鎖したり、従業員の給与を減らしたり、従業員を解雇したりして企業の再生をはかるところもありました。こうした企業の取り組みを何といいますか。カタカナ4字で答えなさい。
解説
リストラ:リストラクチャリング(再構築)の略。企業の経営危機に対応した立て直しを言います。
企業は企業間・国際間の競争に生き残りをはかって、社員個人の能力や業績をより重視するアメリカ型の考えに経営方針を変えつつあります。職場では「効率」と「成果」が全面に押し出され、多くの労働者は「業績を下げないように、リストラの対象にならないように」と不安な思い出働き続けています。

答   リストラ

問9 解説解答

現在の日本は、深刻な不況に苦しんでいます。その主な原因は、物価が持続的に下落していくデフレーションの状態にあることです。デフレーションによって消費者の買い控えがおき、それによって企業の業績が悪化しているため、⑤家計の所得が増えないのです。そこで、デフレーションの克服が日本経済の最大の課題となっています。
問9 下線部⑤について、税金や社会保険料を支払った後の所得は、消費か貯蓄に使われます。そして消費の一部は飲食費として使われます。それでは、消費に占める飲食費の割合を何といいますか。6字で答えなさい。
解説
エンゲル係数:家計の消費支出にしめる食料費の比率(%)のこと。一般に、所得が増えるにつれて所得にしめる食料費の割合が低くなる傾向があり、このような法則を、1858年の論文で発表したドイツの社会統計学者エンゲルの名にちなんでエンゲルの法則といいます。しかし一方、収入がある額以下になると、固定的な支出(住居費・光熱費など)に圧迫されて食料費が削られるために、収入が低いにもかかわらずエンゲル係数は小さくなるというエンゲル法則の逆転現象も生じます。

答    エンゲル係数

問10 解説解答

このような現状に対して、日本銀行は金融政策を通じて物価を上昇させ、デフレーションを克服できるのか、ということが大きな問題となっています。この点について、日本銀行や一部の専門家は、⑥日本銀行はすでにできうる限りの政策を実行していること、また、日本銀行が物価に対して与えられる影響が限られていること、などによって日本銀行による金融政策では今以上に物価を上昇させることはできない、つまり金融政策だけではデフレーションは克服できない、としています。
問10 下線部⑥について、日本銀行が現在実施していない金融政策を次の中から1つ選び、記号で答えなさい。
ア 民間企業の経営が健全かどうか、企業ごとに格付けをしている。
イ 金融市場における金利を下げようとしている。
ウ 普通銀行による企業への貸し出しを増やそうとしている。
エ 貨幣が流通している量を増やそうとしている。
解説
民間企業の経営が健全かどうか、企業ごとに格付けを行う門機関は、民間企業で、「格付会社」と呼ばれます。アメリカのムーディーズやスタンダード アンド プアーズが有名です。日本でも、日本公社債研究所、日本格付研究所、格付投資情報センターがあります。

答   ア

問11 解説解答

一方、そのような考え方に反対する専門家もいます。すなわち、日本銀行は物価を上昇させることができる、という意見です。彼らは日本銀行が国債を購入し続ければいいとして、次のように主張しています。 もし日本銀行が国債を購入し続けても物価が上昇しなければ、すべての国債を日本銀行が購入できることになるので、⑦日本の借金はなくなるであろう。つまり、借金大国であるという現状の問題が解決されることになる。しかも、国民へ所得を分配したり、公共財の供給をしたりするのにも、すべて国債でまかなうことができるようになるため、税金を集める必要がなくなる。すなわち、日本銀行が金融政策によって物価を上昇させることができないとすると、無税国家が誕生することになるが、歴史的に見ても常識的に考えても無税国家が存在することができるとは思えない。したがって、日本銀行が国債を購入し続ければ、物価は上昇すると考える方が正しい、ということになる。これはすなわち、日本銀行は国債を買い続けることで物価を上昇させ、デフレーションを克服することができる、という意見です。
問11 下線部⑦について、日本の借金の特徴として誤っているものを次の中から1つ選び、記号で答えなさい。
ア 2009年度の日本の国家予算の歳入(収入)のうち約4割が借金となっている。
イ 日本の借金の総額は、1年間の政府の歳入(収入)を大きく超えている。
ウ 政府の借金にも利息がつくので、政府は利息を支払わなければならない。
エ 財政に関する法律によって、政府が抱えた借金は、必ず翌年までに返済しなければならないことになっている。
解説

1990年には200兆円程度だった国の借金が20年間で4倍以上の860兆円まで膨れ上がっています。ここまで膨れ上がったのは、国の借金は個人の借金とは違って期限までに全額返済しなければならないというものではないからです。


答    エ

問12 解説解答

問12 下線部Aについて、1991年は湾岸戦争が起こった年でもありましたが、次の文章の( 1 )~( 3 )にあてはまる語句を答えなさい。ただし( 2 )はアルファベットで答えること。

 湾岸戦争は、アメリカを中心とする( 1 )軍がイラクを攻撃したことによって始まりました。この戦争への人的貢献がなかったことに対して国際社会の批判を受けた日本は、翌年に( 2 )協力法を制定し、同年この法律に基づいて東南アジアの( 3 )に自衛隊が派遣されました。
解説
国際連合の平和維持活動(PKO)への参加:1991年の湾岸戦争を契機に、国連の平和維持活動(PKO)への自衛隊の参加問題をめぐって激しい議論が交わされ、1992年6月にPKO協力法が成立しました。これによって「PKO参加5原則」が守られる場合に限って自衛隊の海外派遣が認められることになり、カンボジア。モザンビーク、ザイール、ゴラン高原などの自衛隊員が派遣されました。
「PKO参加5原則」:①停戦の合意 ②紛争当事者の受け入れ同意 ③中立の維持 ④自衛隊の独自の判断による撤収 ⑤隊員の防護に限定した武器使用。

答   (1) 国際連合(国連)   (2) PKO  (3) カンボジア

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