中央大学受験対策入試問題解説
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中央大学受験過去問研究2013年度入試問題
中央大学文学部過去問研究
2013年度中央大学文学部日本史入試問題は例年通り大問5題構成でマーク式記述式併用型の解答形式でした。出題は 先史古代~近代までの各時代からの知識を中心とする内容でした。
今回は 4.近世史料に関する出題を解説します。
日本史4.近世史料
問題
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解説・解答
問1解説解答
問1 下線部①について、多くの藩では、近世前期に家臣への給与制度は俸禄制に移行した。それより以前に一般的であった、領地の支配権を家臣に与える制度の名称を記なさい。 |
解説 |
俸禄制:藩が蔵入地(直轄地),給人知行地を含めて,所領内の農民支配を一元的に掌握して年貢を取り,大名家臣にはその知行高に応じて,藩が年貢米を支給する制度。 |
大名の領地は、幕府領と同じく、純然たる直轄領(蔵入地)と家臣への知行地に分かれていた。このように実際に領地を家臣に給与するのを地方知行という。17世紀後半には、地方知行制を残していたところでも、俸禄制に切り替えられていき大名権力は非常に集中的で強力なものとなった。 |
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答 地方知行(制) |
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問2解説解答
問2 下線部②について、元禄期には三都の繁栄を背景に有力な豪商が出現した。その内、「現金かけ値なし」の商法で知られた江戸の呉服店を、次の中から一つ選び、その記号をマークしなさい。ア紀伊国屋イ奈良屋ウ鴻池屋エ越後屋オ三河屋 |
解説 |
エ越後屋:三井越後屋呉服店の代表的な商法は、「店前売り」「現銀(金)かけ値なし」「切売り」である。「現銀(金)かけ値なし」は杜氏支払は盆暮れの二節季払いまたは師走のみの極月払いの掛け売りが慣習だった。そのため貸し倒れや掛け売りの金利がかさむので、その分商品の値が高く資金の回転率も悪かった。越後屋は商品の値を下げ、正札定価制による店頭販売で現金売りすることによって資金の回転率を早めた。 |
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答 エ |
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問3解説解答
問3 空欄Aに入る人物は荻生徂徠の門人で、蘐園学派の儒者である。この人物の姓名を記しなさい。 |
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解説 |
太宰春台:荻生徂徠の農業を中心とした自給自足的な自然経済機構に立脚した経世論を原則論としては認めながらも,商品経済原理によって動いている現実を直視して,これに即応した藩専売制を採用し富国強兵を積極的に図るべきだと説き,その理論的裏づけとして法家思想に同調した。 |
著書に『経済録』・『経済録拾遺』・『産語』・『聖学問答』・『弁道書』・『三王外紀』など。
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答 太宰春台 |
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問4解説解答
問4 下線部③について、財政難で苦しんだのは諸大名だけでなく、幕府も同様であった。徳川吉宗が参勤交代の負担を軽減することと引き替えに諸大名に命じた、幕府財政支援を意図した法令の名称を記なさい。 |
解説、 |
1722年(享保7年)、幕府は財政再建のため参勤交代による江戸滞在期間を半減することを条件に、諸大名に石高1万石につき100石の米を上納させた。幕府は年間18万7000余石の増収で急場をしのいだが、1730年(享保15年)に停止して参勤交代を旧に復した。 |
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答 上米の制 |
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問5解説解答
問5 近世前期には儒者を登用するなどして藩政改革に取り組んだ藩も多い。その内、閑谷学校を開き、治水・新田開発等にも取り組んだ大名を、次の中から1人選び、その記号をマークしなさい。ア保科正之 イ池田光政ウ加藤清正エ前田綱紀オ徳川光圀 |
解説 |
イ池田光政(岡山藩主):陽明学者熊沢蕃山を招き藩政にあたらせた。また、我が国最初の藩学花畠教場(花畠学舎)を設立して藩士の教育に努め、一方閑谷学校など郷学124校を置いて領民の教化に力を注いだ。 |
閑谷学校;池田光政が1668年領内各所に手習所を設けて郷学として庶民教育の機関とした。これが閑谷学校のはじまりである。やがて規模を拡張し、学房・講堂・聖廟・文庫を設けて藩学をしのぐありさまであった。武士や庶民の子弟の入学を許可し、、漢学の素養をつけるために、孝経・小学・四書・五経を教科書とした。 |
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答 イ池田光政 |
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問6解説解答
問6 下線部④について、一茶の故郷である信濃国柏原からあまり遠くない越後国塩沢からは、縮商人であり、文人でもある鈴木牧之がでた。牧之の主著である、雪国の自然や生活を描いた書物の書名を記なさい。 |
解説 |
越後の在郷商人の鈴木牧之は豪雪地の生活を『北越雪譜』で紹介した。本書は、初編と二編に大別され、さらに初編は『巻之上』『巻之中』『巻之下』に、二編は『巻一』『巻二』『巻三』『巻四』にそれぞれ分かれている。1837年(天保8年)秋頃に初編各巻が江戸で発行され、1841年(天保12年)11月に二編4巻が発売された。 |
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答 『北越雪譜』 |
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問7解説解答
問7 空欄Bに入る人物の名を記しなさい。 |
解説 |
欧米列強の中で最も速く日本の脅威となったのはロシアで、ラクスマンに引き続き1804年に(B)が長崎に来航して通商を求めたが、幕府は受け入れなかった。 |
17世紀頃からシベリア開発を進めていたロシアは18世紀に入るとカムチャッカから南下してしきりに日本近海に出没し、上陸することもあった。1792年ロシアの女帝枝エカチェリーナ2世の命を受けたラックスマンが票流民大黒屋光太夫の送還と通商を求めて、根室に来航してきた。幕府は通商要求を拒否し、交渉は全て長崎で行うと通告した。ついで1804年には、レザノフが漂流民の送還と通商を求めて長崎に入港してきたが、幕府は鎖国の方針を堅持してこれを拒否した。 |
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答 レザノフ |
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問8解説解答
問8 一茶は句作のために古典研究にも励んで国学を学び、本居宣長の著作も読んでいた。宣長の著書で、日本の代表的な古典に関数全44巻におよぶ注釈書の書名を記なさい。 |
解説 |
『古事記伝』:本居宣長の古事記注釈書。44巻。付巻1。1764年(明和1年)―1798年(寛政10年)成立,1790年(寛政2年)―1822年(文政5年)刊。〈総論〉(巻一),序文の注釈と神統譜(巻二),本文注釈(巻三~四十四)の各部分に分かれる。古事記の文体,訓法,仮名等から,その尊重すべき理由を述べ,詳細な本文の注釈を施す。 |
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答 古事記伝 |
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問9解説解答
問9 下線部⑤について、養蚕・生糸はこの後、幕末日本の重要な輸出品の一つになる。1860年に幕府は、五品江戸廻送令を発して生糸を含む重要5品目の開港場直送を禁じているが、その5品目にあてはまらない物を、次の中から一つ選び、その記号をマークしなさい。ア.雑穀 イ.蝋 ウ.呉服 エ.木綿 オ.水油 |
解説 |
日米修好通商条約や安政の五か国条約の締結により、1859年(安政6年)から箱館・横浜・長崎の3港で貿易が開始し、港に居留する外国商人と日本の商人との間で取引が行われるようになった。日本からは主に生糸が輸出されたが、生糸などの輸出品は、国内市場よりも貿易市場の方が高値で取引されていたため、生産地と市場を仲立ちしていた在郷商人は、江戸などの大都市の問屋ではなく、直接、開港場へ生産品を卸すようになった。そのため、江戸の問屋商人を中心とする従来の流通機構が徐々にほころびを見せ始めた。さらに太平天国の乱へのイギリス・フランスの介入が本格化すると、本来ならば需要がない筈の雑穀や蝋などの軍需品の輸出の増加も始まった。こうした、急増する輸出需要に対し、生産供給が追いつかず、全般的に物価が高騰するなど、日本経済に大きな混乱が生じていた。こうした事態に対応するため、江戸の問屋商人らの要望も受けた江戸幕府は、1860年に、生糸、雑穀、水油、蝋、呉服の五品目について、必ず江戸の問屋を経由する法令
( 五品江戸廻送令) を発した。
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答 エ.木綿 |
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問10解説解答
問10 下線部⑥について、現実社会の苦しい生活から救済・解放されたいと願い、この世を改め、新たな夜を迎えたいと思う意識が人々の間で高まる中、幕末には民衆宗教が広がり見せた。このような幕末から明治初期にかけて創始され、明治政府から公認された天理教・黒住教・金光教等を含む13派の神道を何と呼ぶか。その名称を記なさい。 |
解説 |
教派神道:神道十三派に代表される神道系新宗教教団。明治新政府によって、国家神道を確立する過程で、祭政一致である祭祀を司る国家神道と、政教分離である宗教機能を持つ教派神道に分離された。教部省神道事務局に元来ばらばらに存在した民衆信仰的な宗教を所属させ、信者数など一定の条件を満たした教派を独立教派として公認し、14派が公認された。それは神道大教、黒住教、神道修成派、神宮教、出雲大社教、枎桑教、實行教、神道大成教、神習教、御嶽教、神理教、禊教、金光教、天理教であった。そのうち神宮教が1899年(明治32年)に財団法人神宮奉賛会となり離脱したため、行政上公認された神道系の教団を意味する教派神道の合計が13教派である期間が続いた。
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答 教派神道 |
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