早稲田大学受験対策入試問題解説

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早稲田大学受験過去問研究2012年度政治経済学部入試問題

 

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早稲田大学政治経済学部過去問研究

2012年度早稲田大学政治経済学部政治経済入試問題はT 日本経済(原発事故からの復興に関する問題) U 政治原理(資料出典『日本国憲法前文』)V 国際政治(第二次世界大戦後のAA諸国の独立) W 経済(国内総生産)X 国際経済(自由貿易)が出題されました。

今回は X 自由貿易をテーマにした出題を解説します。 


問題 X



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解説・解答

問1解答解説

本文中の[1]〜[5]に最も適合する用語を解答欄に記入せよ。
[1]解説
自由貿易を主張する立場は、それぞれの国が生産費のより安い財に生産を特化してこれを輸出し、生産費のより高い財を輸入して貿易を行えばそれぞれの国に利益が生まれる。という考え方([1])を出発点としてきた。
解説

[1]比較生産費説:リカードが提唱した国際貿易論の基礎的理論。2国間の貿易は、双方が比較優位を持つ財に特化し、他の財の生産を貿易相手国にまかせるという国際的な分業を行い、貿易を通じて特化した財を相互に交換すれば、貿易当事国は双方とも貿易を行わなかった場合よりも利益を得ることができるという説。リカードは、国際分業と自由貿易を通じて世界の資源を効率的に利用することで、生活を豊かに出来ると考えた。リカード『経済学および課税の原理』1817年・第7章「外国貿易について」


[2]解説
自由貿易化はまだ発展段階の低い産業や競争力の弱い産業に打撃を与えるため、関税などによってそれらを保護するべきであるという考え方[2]もある。
解説
[2]保護貿易論:リストは自由貿易主義は先進国の論理であり、発展途上国では、国内の産業を保護・育成するため、安価な外国製品に対しては関税をかけたりする保護貿易政策が必要であると主張した。

[3]解説
両者の対立はモノのみならず、資本や人も国境を越えて移動する経済の[3]が進んだ近年、先進国と発展途上国だけではなく、先進国間でもむしろ先鋭化した。
解説
資本は、資本規制などの障壁がなければ高い利益を求めて世界中を駆けめぐる。経済のグローバル化(グローバリゼーション)の進展は活発な国際資本移動をもたらしている。資本は先進国間だけではなく新興市場国へも向かい、これらの国々の経済成長に貢献する一方、資本が過剰に流入した後に急激な資本流出が起こると経済危機が発生し、一国の経済が世界経済全体に深刻な影響を与えるというグローバル化の負の側面も示した。

[4]解説
関税および貿易に関する一般協定(GATT)に比べ、[4](WTO)では紛争処理などの機能強化が図られた理由もそこにあった。しかしながら、[4](WTO)の無差別貿易自由化原則に対する発展途上国の反発や、先進国国内での農業部門の反対などにより貿易自由化への協議は次第に進まなくなった。
解説
第二次世界大戦の原因の一つであるブロック経済の反省から、GATT(関税および貿易に関する一般協定)が誕生した。GATTは貿易の拡大による世界経済の発展を基本理念として、原則として輸入制限を無くし、自由貿易の堅持を目的とした。1995年には、GATTを引き継ぐWTO(世界貿易機関)が設立された。WTOは常設の国際機関であり、GATTに比べて紛争解決手続きが大幅に強化された。
[5]解説
しかしながら、世界貿易機関(WTO)の無差別貿易自由化原則に対する発展途上国の反発や、先進国国内での農業部門の反対などにより貿易自由化への協議は次第に進まなくなった。このため、各国は次第に折り合いのつきやすい2国間、もしくは複数国間で交渉する自由貿易協定(FTA)締結を目指すようになり、経済のグローバル化が進む反面、地域的な経済統合への動きが顕在化した。欧州連合(EU)、北米自由貿易協定(NAFTA)の成立に続き、アジアでもASEAN[5](AFTA)の発足後は、各国によるFTA交渉が活発化している。
解説
AFTA=ASEAN自由貿易地域(ASEAN Free Trade Area):NAFTAやEUなどの地域経済圏への対抗を図って1992年、シンガポールにおけるASEANの首脳会議によって正式に決定された。AFTA発足時のASEAN加盟国はブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの6カ国であったが、その後ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアがASEANに加盟したことにともない、東南アジア10カ国による地域経済協力圏が形成された。

答 [1] 比較生産費説  [2] 保護貿易論 [3] グローバル化(グローバリゼーション) [4] 世界貿易機関 [5] 自由貿易地域

問2解答解説

下線部A,Bを主張した18世紀から19世紀にかけての代表的な経済学者は誰か。解答欄に記入せよ。
A解説
デヴィッド・リカード(David Ricardo  英,1772-1823)
自由貿易を擁護する理論を唱え労働価値説の立場に立った。経済学をモデル化するアプローチを初めてとったことで体系化することに貢献し、古典派経済学で最も影響力のあったの経済学者の一人。
B解説
フリードリッヒ・リスト(Friedrich List  独,  1789-1846)
国際貿易で後進工業国がイギリスに太刀打ちするためには、国家による干渉が必要であるとして保護貿易政策が必要であると主張した。

答  A リカード , B リスト

問3解答解説

下線部分Cはどのような主体の間での無差別自由化なのか。解答欄に20字以内で説明せよ。
世界貿易機関(WTO)のc無差別貿易自由化原則
解説
WTOの原加盟国数は128(内77カ国がWTOの発足時の加盟国)で2012年での現在の加盟国数は157。この加盟国間において無差別貿易自由が原則が適用される。

WTOがとる貿易上の制限を取り除くための2原則は、貿易障壁措置の削減・貿易の無差別待遇である。前者は、「関税」以外の障壁を廃止し、その関税をゼロにもっていく、というものである。後者は、1)最恵国待遇、2)内国民待遇という原則を適用し、制度上差別待遇を行わないというものである。GATT時代は、工業製品・農産物の貿易ルールだけだったのが、WTOではサービス、知的所有権(知的財産権)、貿易関連投資措置などのルールも交渉の対象となり、さらに、紛争手続きもGATT時代より格段に厳格化され、ルールを厳格に適用し各国が原則に対する大きな例外を作ることを認めずWTOで決まったルールが国際法として優先され、それによって国内法も変えざるを得なくなった。


答  WTOに加盟する国・地域などの組織体。(19字)

問4解答解説

解説

関税引下げに対抗できるためには、国産農産物価格を下げなければならない。しかし、米価に象徴されるように価格で農家所得を維持してきたため、価格引下げにつながる関税引下げには決して応じられないことになる。従来日本では農家の所得向上のため米価を上げたため、農業資源は収益の高い米に向かい、過剰となった米の生産調整を30年以上も実施する一方、麦等の生産が減少したことにより、食料自給率は60年の79%から40%へ低下した。


答  ア  エ

問5解答解説

輸入が急増し、国内産業に重大な影響を与えると判断された場合、輸入制限をすることはWTOルールの下でも認められている。これを何と呼ぶか。解答欄に記入せよ。
解説
一般セーフガードは、1994年GATT第19条、セーフガード協定に基づき、農林水産物を含むモノ全般を対象に輸入急増による国内産業への重大な損害の防止のために認められている緊急措置である。特別セーフガード(SSG)は、WTO・農業協定第5条に基づき、ウルグァイ・ラウンド合意において輸入数量制限等の非関税措置を関税化した農産品(米、小麦、大麦、乳製品、でん粉、雑豆、豚肉(数量ベースのみ)、生糸等 ただし、関税割当(枠内)及び国家貿易による輸入については不適用。)について、関税化の代償として認められている「改革過程の期間中」効力をもつ緊急措置であり、日本では、関税暫定措置法第7条の3及び4をもって規定されている。

答  セーフガード



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