本文中の[1]〜[5]に最も適合する用語を解答欄に記入せよ。 |
[1]解説 |
自由貿易を主張する立場は、それぞれの国が生産費のより安い財に生産を特化してこれを輸出し、生産費のより高い財を輸入して貿易を行えばそれぞれの国に利益が生まれる。という考え方([1])を出発点としてきた。 |
解説 |
[1]比較生産費説:リカードが提唱した国際貿易論の基礎的理論。2国間の貿易は、双方が比較優位を持つ財に特化し、他の財の生産を貿易相手国にまかせるという国際的な分業を行い、貿易を通じて特化した財を相互に交換すれば、貿易当事国は双方とも貿易を行わなかった場合よりも利益を得ることができるという説。リカードは、国際分業と自由貿易を通じて世界の資源を効率的に利用することで、生活を豊かに出来ると考えた。リカード『経済学および課税の原理』1817年・第7章「外国貿易について」
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[2]解説 |
自由貿易化はまだ発展段階の低い産業や競争力の弱い産業に打撃を与えるため、関税などによってそれらを保護するべきであるという考え方[2]もある。 |
解説 |
[2]保護貿易論:リストは自由貿易主義は先進国の論理であり、発展途上国では、国内の産業を保護・育成するため、安価な外国製品に対しては関税をかけたりする保護貿易政策が必要であると主張した。 |
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[3]解説 |
両者の対立はモノのみならず、資本や人も国境を越えて移動する経済の[3]が進んだ近年、先進国と発展途上国だけではなく、先進国間でもむしろ先鋭化した。 |
解説 |
資本は、資本規制などの障壁がなければ高い利益を求めて世界中を駆けめぐる。経済のグローバル化(グローバリゼーション)の進展は活発な国際資本移動をもたらしている。資本は先進国間だけではなく新興市場国へも向かい、これらの国々の経済成長に貢献する一方、資本が過剰に流入した後に急激な資本流出が起こると経済危機が発生し、一国の経済が世界経済全体に深刻な影響を与えるというグローバル化の負の側面も示した。 |
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[4]解説 |
関税および貿易に関する一般協定(GATT)に比べ、[4](WTO)では紛争処理などの機能強化が図られた理由もそこにあった。しかしながら、[4](WTO)の無差別貿易自由化原則に対する発展途上国の反発や、先進国国内での農業部門の反対などにより貿易自由化への協議は次第に進まなくなった。 |
解説 |
第二次世界大戦の原因の一つであるブロック経済の反省から、GATT(関税および貿易に関する一般協定)が誕生した。GATTは貿易の拡大による世界経済の発展を基本理念として、原則として輸入制限を無くし、自由貿易の堅持を目的とした。1995年には、GATTを引き継ぐWTO(世界貿易機関)が設立された。WTOは常設の国際機関であり、GATTに比べて紛争解決手続きが大幅に強化された。 |
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[5]解説 |
しかしながら、世界貿易機関(WTO)の無差別貿易自由化原則に対する発展途上国の反発や、先進国国内での農業部門の反対などにより貿易自由化への協議は次第に進まなくなった。このため、各国は次第に折り合いのつきやすい2国間、もしくは複数国間で交渉する自由貿易協定(FTA)締結を目指すようになり、経済のグローバル化が進む反面、地域的な経済統合への動きが顕在化した。欧州連合(EU)、北米自由貿易協定(NAFTA)の成立に続き、アジアでもASEAN[5](AFTA)の発足後は、各国によるFTA交渉が活発化している。 |
解説 |
AFTA=ASEAN自由貿易地域(ASEAN Free Trade Area):NAFTAやEUなどの地域経済圏への対抗を図って1992年、シンガポールにおけるASEANの首脳会議によって正式に決定された。AFTA発足時のASEAN加盟国はブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの6カ国であったが、その後ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアがASEANに加盟したことにともない、東南アジア10カ国による地域経済協力圏が形成された。 |
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答 [1] 比較生産費説 [2] 保護貿易論 [3] グローバル化(グローバリゼーション) [4] 世界貿易機関 [5] 自由貿易地域 |